歯の豆知識

フッ素はどうやって使うの?

フッ素を使って虫歯の予防を行うのには、経口的にフッ素を摂取する全身的応用と、歯に直接フッ素を作用させる局所的応用があります。全身的な応用の代表的なものは、水道水のフッ素濃度の適正化です。世界60カ国で行われており、3億6千万人もの人々がフッ素濃度を適正化した水道水を利用しています。日本でも水道水のフッ素量適正化は幾つかの自治体で準備に入っており、2002年度中には実施されるかもしれません。その他の全身的応用法としては、30カ国で行われている食塩へのフッ素添加やフッ素錠の服用などがありますが、残念ながらどちらも日本では入手できません。

局所的な応用法としては、まずフッ素洗口があげられます。この方法は簡単で安価であり、低濃度フッ素を使用するという特徴があります。具体的には5〜10ccのフッ素液を口に含んで、30秒または1分間飲み込まずにブクブクうがいをして吐きだします。したがって、上手にうがいができる年令以上の人が対象になります。保育園や学校という集団の場で行う場合、少ない経費で一度にたくさんの子どもたちに応用できますので、非常に経済的な方法です。毎日1回ずつ洗口する方法と、1週間のうち1日だけ実施する方法があります。また、集団での洗口が利用できない個人のために、家庭で実施するという方法もあります。ただし、外国のようにスーパーなどでフッ素液を手に入れることはできませんので、かかりつけの歯科医院や薬局に相談して下さい。

その他の局所的応用法として、フッ素塗布と歯みがき剤へのフッ素添加があります。フッ素塗布は比較高濃度のフッ素の液やゲルを歯に塗布する方法です。専門的に実施されるものですから、家庭などで自分で塗布するというわけにはいきません。したがって、1回に2000〜3000円程度の費用がかかると思います。通常では1年に2回〜4回、むし歯になりやすい子どもさんは、2ヶ月に1回ずつというように回数を増やします。また、歯が次々と生えかわる時期には、定期的に実施しないと効果も半減しますので、ぜひ継続塗布して下さい。

歯みがき剤へのフッ素添加は日本でも広く行われています。フッ素入りだからといって歯磨剤の値段が高くなることはありませんので、金銭的な負担もあまりありません。子どもさんからお年寄りの人を含めて自分の歯の残っている人すべてに対してフッ素入り歯磨剤の利用が推奨されます。ただし、歯磨剤を毛先にほんの少ししかつけなかったり、歯みがきが終わった後のうがいをしすぎたのでは、せっかく口の中に供給されたフッ素が口の外に出てしまいます。少なくても歯ブラシ毛の部分の半部量をとり、うがいも2〜3回程度にとどめたいものです。ただし、予防効果がある順番では水道水のフッ素量適正化>フッ素洗口>フッ素塗布>歯みがき剤へのフッ素添加ですので、他の方法と併用する事が必要な場合があります。