1.基本的なこと
高血圧症の80%を占める本能性高血圧は原因不明ですが、動脈硬化、高脂血症と関連が深く、心臓病、脳卒中の引き金となります。
2.歯・口における特徴的な症状
- 降圧剤の種類によっては(Ca拮抗薬など)、歯肉増殖を起こし、歯周病のリスク要因となります。
- 中等度の歯周病の割合は高血圧症(160mmHg以上)の人が健常な人の1.5倍と報告されている。
- 降圧剤の中には副作用で口腔乾燥を起こすこともある。
3.口腔ケアのポイント
- 麻痺や筋力低下はないので、通常の口腔清掃、ブラッシングが可能であります。口腔乾燥については頻回のうがい励行を勧めます。
- 歯肉増殖に対しては、かかりつけの歯科医院にて定期的にプラーク除去、歯石除去等歯周処置を行えばかなり抑制できます。
- 抑制できない場合は、内科主治医と相談して降圧剤の変更を変えてみるのも一法。
4.歯科治療時の問題点
- 高血圧は歯科治療上問題となりやすい。
- 痛みや不安、恐怖により、内因性のカテコールアミンが上昇し、さらに局所麻酔薬中の血管収縮剤(エピネフリン)が外因性のカテコールアミンとなって血圧が上昇します。
- 局所麻酔時、抜歯時に特に血圧が上昇します。(通常20~50mmHg)
- 血圧が上昇すると易出血性となります。