1.基本的なこと
糖尿病とは膵臓から分泌されるインシュリンが不足したり、その作用が弱いために血糖値が上昇する病気です。
2.歯・口における特徴的な症状
- アセトン臭(甘酸っぱい口臭)がする
- 口渇、口腔乾燥が認められる。易出血性で歯肉からの出血があり、口臭の原因となっていることもあります。
- 糖尿病に特徴的な歯周病がみられる。
アメリカ糖尿病学会では糖尿病の4大症状として、網膜症、腎障害、末梢神経障害、歯周病をあげている。
- 歯肉がはれぼったく、プラークが多い。
- 易出血性でもろい感じがある。
- 血糖値が下がらないと治りにくい。
3.口腔ケアのポイント

- 口渇、口腔乾燥に対してうがいの励行(お茶でのうがいも勧められる)
- 易出血性で歯肉からの少量だが、持続性の出血があることも多く、口臭、乾燥の原因となっていることもあります。
- プラークは口腔乾燥とあいまって、取れにくいので、食後3分以内のブラッシングの励行
- かかりつけ歯科医を決めて、月に1回は専門家によるケアを受けましょう。
4.歯科治療時の問題点

- 出血しやすい、傷の治りが悪いことから、なるべく早期に治療を受ける。
- 血糖値のコントロールが悪いと、歯周病も治りにくいことから、糖尿病の初期の内に歯科治療を終わっておく。
- 治療中は血圧が変動しやすかったり、歯科用の麻酔薬中の血管収縮剤で血糖値が上昇したりするので、かかりつけ歯科医には必ず糖尿病である旨を伝えること。
- 抜歯などの観血処置は空腹時血糖150mg/dl以下、1時間値200mg/dl以下であれば可能であるが、それ以上は主治医と相談が必要。
- 空腹時の歯の治療は低血糖状態であるので避けましょう。