歯の豆知識

歯ぐきがはれてウミがでます。どうしてですか。

歯ぐきがはれてウミが出る、歯根の先の病巣「根尖病巣」についてお話します。

原因としては、むし歯の放置にあります。むし歯の細菌が歯髄(歯の中の神経や血管)まで達し、やがて歯髄は炎症を起こして腐ってきます。さらに放置すると歯根の先の穴(根尖孔)を通じて、顎の骨の中に病巣が出来てしまいます。

また、歯髄を取り、痛みがなくなったからといって治療を中断すると、同じような病巣を作ってしまいます。ときには、歯髄の治療が終わった歯が、数カ月から数年後にはれてくることもあります。
原因をお話しする前に、歯髄の治療(根管治療)について説明します。根管治療は、まず歯髄が残っている場合には歯髄を、また以前に治療している場合には中の薬を除去します。

根管の内壁には細菌や腐った物質がしみ込んで汚染されていますから、リーマーやファイルと呼ばれる細いドリルのような器具で、汚染されている根管の内壁を少しずつ削り取りながら清掃し、根管の中を殺菌、消毒します。その後、空洞が出来ないよう緊密に根の先まで、密封性の薬を詰め、根管治療は終了します。
そこで、治療した歯がはれてくる原因に話を戻します。歯髄が入っている根管の形は極めて複雑で細く、直接目で見て治療が出来ないために、歯髄の一部が残ったり、細菌が残っていたりします。また、密封性の薬を詰めるときに空洞が出来たり、使用した薬と組織の親和性の問題などが考えられます。

再治療する際には、このような原因を徹底的に除去した後に、再度、根管を密封して病巣の治癒をはかります。しかし治療しても治らない場合は、外科的手術で歯根の先を切除し、病巣を除去します。抜歯することもあります。
歯ぐきのはれはよくなっても病巣は残っています。歯を抜かないためにも、出来るだけ早く治療を受けましょう。