むし歯を放っておくと必ずリウマチや腎臓病をひき起こ すというわけではありません。むし歯といってもこの場合、大きなむし歯で慢性の化膿性の炎症を起こしているようなものが問題になるわけですが、むし歯にかぎらず、このような慢性の病巣があるときに、この病巣とは直接関係のない離れた所に、何らかの形で一定の病気または異常の起こってくることがあり、これを病巣感染といっています。
以前は、原病巣の細菌が血液を介して他の所に移り、病気を引き起こすという、ユニークな発想から、これが盛んにもてはやされたこともありましたが、近ごろは細菌が直接関係しているというよりは、むしろ原病巣に対するアレルギー反応などによるものが中心であると考えられています。また、実際にそのような二次的な病気が起こったとしても、それが病巣感染によるものかどうかという診断は、きわめて難しいものです。
このように、むし歯が病巣感染を起こす可能性は、一応考えられていますが、病巣感染を起こしやすい体質というものがあり、すべての人が起こすわけではありません。ですから、やたら心配すべきものではないかもしれませんが、化膿している大きなむし歯が口の中にあるということは、身体にとって決して良いものとは考えられません。むし歯は早い時期に治すようにすべきですが、とくに大きなむし歯になってしまっているようなときには、早めに歯科医院を訪れ、しかるべき処置を受けるようにすべきでしょう。