摂食・嚥下障害の方の食べる訓練をするときは、まず安全であること、つまり誤嚥をしないようにしながら、十分な経口栄養摂取を目指します。具体的には摂食・嚥下のどの段階に問題があるのかを判断し、その段階に合せた訓練が必要になります。これらは経験のある医師・歯科医師・リハビリ科の先生などの診断や指導が必要です。
この嚥下体操は食べる前の準備体操で、食物を用いない訓練ですから安全に出来ますが、これだけで食べられるようになるわけではありません。
この体操で食べたり飲み込んだりするのに使う筋肉がスムースに働くように整えます。これらの体操を毎食前に行うようにします。これ以外にもそれぞれの患者さんに適した方法も工夫してください。
嚥下体操 | 以下の運動を5~6回繰り返します | |
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食事の前に、まずお口の中をきれいにしましょう | ||
1. | ゆったりこしかけて、深呼吸をします。 | おなかに手をあてゆっくりと深呼吸をします。 おなかがへこむくらいに全部の息を吐きます。息を吸う → 息をゆっくりはく |
2. | 深呼吸を繰り返しながら首の体操を | 左右に首をまわして後を見ます。左右に首を曲げる。 ゆっくり首を回します。 |
3. | 肩の体操 | 両肩をすぼめるようにしてから,すっと力を抜きます 肩を中心に両手をゆっくりまわします |
4. | 頬の体操 | 口を閉じたままほっぺたを膨らましたり、口笛を吹くようにします。 |
5. | 舌の体操 | 舌を「べー」と前に出し、口の奥に引っ込めたりする 舌を出して横に動かし、口の両端をなめる鼻の下、あごの先を触るようなつもりで、舌を上下に動かす |
6. | 舌の体操 | 「パパパパ」「タタタタ」「カカカカ」と繰り返しはっきり発音する。 |
最後にもう一度深呼吸をします |
患者・家族を中心として、かかりつけ医、歯科医、耳鼻咽喉科医、ST、歯科衛生士、看護婦などがチームを組んで足りないところをお互いに協力しあって、粘り強くリハビリを続けていくことが大切です。